• テキストサイズ

夜の秘め事【裏夢の短編集】【R18】

第2章 しゃけ大根に溶ける貴方の心 【鬼滅の刃 冨岡義勇】


手当てが終わり、片付けを始めようとしたの手を、義勇の右手がそっと包み込んだ。
大きな、剣筋で硬くなった掌。

「……冨岡様?」
「…………すまない……手を煩わせた」
「謝らないでください。私は、お役に立てるのが嬉しいのです」
「お前は……いつも、私の心の内まで踏み込んでくる」

義勇は視線を落とし、巻かれたばかりの白い包帯を見つめた。
そこには、自分では決して施せない、丁寧で優しい労わりの形があった。

「……不思議だな。お前に手当てされると、傷よりも、胸の奥が騒がしくなる」
「それはっ、……きっと、お腹が空いているせいですよ」

は照れ隠しに微笑み、彼の手に自分の手を重ねた。

「今夜は、身体が温まるお粥にしましょうか。それとも、大好物の鮭大根にします?」
「…………鮭大根を、頼む」
「承知しました。腕によりをかけてお作りしますね」

少しだけ、彼の手の力が強まる。
「死」が隣り合わせの殺伐とした日々の中で、が与える温もりだけが、今の彼を現世に繋ぎ止める確かな鎖だった。



/ 270ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp