第11章 純白の境界線 【ヒロアカ 爆豪vs轟vs相澤】
「解除方法は?」
「ない。半日ほどで時間経てば自然に解ける。……まぁ、不幸中の幸いというか、身体への害はないよ。ただ、その……社会的な死に気をつけて」
「殺すぞ!!!」
爆破を掌でパチパチと鳴らす爆豪を、轟が冷静に(というよりは、若干呆然としながら)制した。
「待て爆豪。落ち着け。……『好きな人』が対象なら、俺たちには関係ない話だろ」
「あぁ!?」
「今ここで何も起きていないのが証拠だ。寮に戻っても、対象の相手に近づかなければいい。……幸い、今日は休日で外出してる奴も多い」
「……ケッ、当たり前だ。んな少女漫画みたいな展開、クソ喰らえだわ」
爆豪は苛立ちを隠さず、乱暴に髪を掻き回した。
確かに、轟の言う通りだ。
好きな相手に、わざわざ自分から接触しに行かなければいい。
物理的に距離を置けば、事故の起こりようがない。
「……帰るぞ、時間が経過するまで部屋に引きこもってりゃ済む話だ」
「ああ、そうだな」
二人は並んで寮への道を歩き出した。
重い足取りで雄英の敷地内へと足を踏み入れた時、二人はまだ知らなかった。
「不可抗力」という言葉の真の恐ろしさを。
そして、自分たちが必死に隠してきた「対象」が、今まさに寮の玄関先で自分たちを待っているという事実に。
「あ、爆豪くん! 轟くん! おかえりなさい!」
寮の扉が開いた瞬間、弾んだ声と共に丁度出掛けようとしていたが駆け寄ってきた。
その姿を認めた瞬間、二人の脳裏に鑑定ヒーローの言葉がリフレインする。
『好きな人が近くにいる場合、不可抗力で……』
「ッ! 来んな!!」
「近寄るな、!」
二人の怒号に近い制止が重なった。
あまりの剣幕に、はびくりと肩を揺らして足を止める。
「えっ……ご、ごめん。何か怒らせちゃうようなこと……したかな?」
困惑し、傷ついたような表情を浮かべる。
だが、今の二人にそれをフォローする余裕はなかった。
それどころか爆豪と轟はお互いの顔を見て「今、この瞬間に固まってしまった理由」が共通していることに気づき、戦慄していた。