第10章 ※地獄の底で 君の名前を呼んだ【ヒロアカ 轟焦凍】
「あ……っ!」
背中に走る感触と、目の前を塞ぐ轟の体躯。
昨夜以上に熱く濁った瞳が彼女を捉えて離さない。
「……もう、無理だ。勉強どころじゃない」
吐息が混じるほどの至近距離で、唇が重なった。
「んぅ……っ、……ん、んんっ」
昨日よりも深く、強引な舌使い。
口腔内を隅々まで愛撫され、は酸欠のような感覚に陥り、彼の制服の胸元をぎゅっと掴んだ。
轟の大きな手が、彼女の制服の襟元を乱していく。
白い肌が露わになると、彼はそこへ顔を埋めた。
「ぁ……っ、ぁっ、んんっ!」
ジュッ、と湿った音が静かな部屋に響く。
柔らかな肉を吸い上げられ、刻まれていく赤い印。
制服でギリギリ隠れる喉元、鎖骨、さらにその下へ。
「焦凍、くん、……だめ、……っ、あぁっ!」
経験したことのない快感と衝撃に、の目尻から涙が溢れた。
荒い呼吸と、自分の口から漏れる情けないほどに甘い喘ぎ声。
だがその時、彼は自分の下で震え、涙を流すの姿を見て、はっと我に返った。
(……俺は、何を……)
十年ぶりに再会し、ようやく自分の居場所を見つけたはずの彼女を、恐怖で支配しようとしていた。
「――っ、……すまない」
轟は弾かれたように体を離すと、荒い呼吸を整えるように顔を覆って蹲った。
暴走しかけた己の獣を、必死の思いで檻の中に押し戻す。
「ごめん、……急ぎすぎた。怖かったよな」
「……ううん。……大丈夫……嫌じゃ、ないの。ただ、急だったから……びっくりしただけ」
は乱れた襟元を押さえ、潤んだ瞳で轟を見上げた。
頬は朱に染まり、まだ熱を持った吐息が白く震えている。
その無防備な肯定は、轟にとって救いであると同時に、過酷な拷問でもあった。
「……そうか」
轟は安堵に胸を撫で下ろしたが、腹の底で渦巻く熱は一向に引く気配がない。
むしろ、彼女の拒絶のなさを知ったことで、理性の鎖はいよいよ千切れそうになっていた。
(これ以上は、本当に……)
これ以上この部屋に留まれば、次はもう止まれる自信がなかった。
「……今日は、もう帰る。これ以上お前と一緒にいたら、今度こそ襲っちまう」
「え……あ、うん」