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夜の秘め事【裏夢の短編集】【R18】

第10章 ※地獄の底で 君の名前を呼んだ【ヒロアカ 轟焦凍】


一度、二度と何度も角度を変えて、確かめるように唇を食む。


「……んっ、焦凍、くん……」


が微かな甘い声を漏らすと、轟の理性は音を立てて軋んだ。
深く、抉るように。
触れ合うだけだった唇が、熱を帯びて開き、互いの舌が絡み合う。
逃がさないように彼女の腰を引き寄せ、もう片方の手で後頭部を優しく、だが力強く固定した。
口腔を満たす彼女の熱、鼻腔をくすぐる少女特有の甘い匂い。


(……足りない。もっと、奥まで)


「んむ、っ……んちゅ……んっ……」


酸素を奪い合うような深い接吻が、静かなワンルームに湿った音を響かせる。
の顔は熟した林檎のように赤く染まり、酸素を求めてその肩が激しく上下した。
潤んだ瞳が、熱に浮かされたように轟を見つめている。
その無防備な姿に、轟の腹の底で猛烈な熱が跳ねた。

幼馴染としての親愛は、一瞬にして男としての剥き出しの欲情へと変質する。


(ダメだ……。まだ、早すぎる)


再会したばかりの彼女を、これ以上怖がらせるわけにはいかない。
沸き上がる独占欲と加虐心を、轟は必死に理性の鎖で繋ぎ止めた。
奥歯を噛み締め、爆発しそうな衝動を無理やり喉の奥へ押し込む



「んんっ……ん、ちゅっ……」

「……はぁ、……っ」


唇を離すと、銀色の糸が二人の間に引かれた。
轟は溢れ出しそうな欲望を隠すように、彼女の顔を自分の肩口に埋めさせ、折れそうなほど強く抱きしめた。


「焦凍、くん……? 苦しい、よ……」

「……悪い。少しだけ、このままでいさせてくれ」


彼女にはバレないよう、深く息を吸い込んで動悸を鎮める。
抱きしめる腕に込めた力は、彼女への愛おしさ半分、己の獣を抑え込むためのもの半分。


十年前の約束は、もう「ままごと」では終わらない。
腕の中にある確かな温もりに、轟は自分が一人の男であることを、嫌というほど自覚させられていた。


「……今日は、帰る」


絞り出すような轟の声は、どこか切羽詰まった響きを帯びていた。
これ以上この狭い密室で、自分を信じきった瞳で見つめる彼女と過ごせば、理性の鎖が完全に弾け飛ぶ。

幼馴染という皮を脱ぎ捨て、一人の男としての欲望を剥き出しにしてしまう自信しかなかった。



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