第9章 魅惑的な太腿をもつ君と♡ 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
「……二人とも、自覚するまで長すぎ。……見てるこっちの身にもなってよね。……だから、さっきのは……あきらめて、背中押しただけ」
「……はは。そりゃどーも。おかげで最高の結果になったわ」
黒尾は体育館の天井を見上げ、独り言のように呟く。
研磨はそれ以上何も言わずに、目線を落としたが、その口元はほんの少しだけ、幼馴染の幸福を祝うように緩んでいた。
「……ま、無茶してさん泣かせたら、次はないから。……練習、再開して。監督がこっち見てる」
「はいはい、キャプテン戻りますよーっと!」
黒尾は大きな声で返事をして、コートへ駆け出していく。
その後ろ姿は、ようやく手に入れた「現実」の重みを噛み締めるように、力強く床を蹴っていた
放課後の校門付近。
街灯がぽつりぽつりと灯り始め、冷え込んできた夜気が二人の吐く息を白く染めていた。
隣を歩くの歩幅は、足首の怪我を気遣っていつもよりゆっくりだ。
部活終わりの心地よい疲労感と、保健室での濃密な時間の余韻が、二人の間に甘く、少しだけ気恥ずかしい空気を作っていた。
「……なぁ、」
沈黙を破ったのは黒尾だった。
街灯の下で足を止めると、も不思議そうに立ち止まり、彼を見上げる。
「あのさ、保健室であんなことしといて今更なんだけど。……ちゃんと、言っとかねーとなって」
「え……?」
黒尾は少しだけ決まり悪そうに後頭部を掻くと、真剣な眼差しでの瞳をじっと見つめた。
「俺、お前のこと、ただのクラスメイトだとは思ってないんだわ」
「……黒尾、くん」
「夢にまで出てくるくらい、お前のことが好き。……さっきみたいな衝動的なやつじゃなくて、ちゃんと、俺の彼女として。……これからもずっと、隣にいてほしいんだけど。……いいデスカ?」
真っ直ぐな言葉。
昼間の冷たさも、保健室での強引さも、すべてはこの「好き」という気持ちが空回りしていた結果なのだと、には痛いほど伝わってきた。