第2章 2
おとなしいリネアからは想像できない腕力でゴルバットの口を開かせた。手慣れているところから察するにしょっちゅうなのだろう。
キバナは笑いながら代わりにオボンの実を与えた。
「頑張ったから腹減ってんだよなぁ」
そうしているとジムトレーナーたちは二人に濡れたタオルを持ってきた。
「試合お疲れ様です!」
「ああ、ありがとな。リネア、砂まみれになっちまったろ、タオルで顔まわり拭いて休憩しようぜ」
「はい、わざわざありがとうございます」
リネアに疑念を持っていた者も先ほどのバトルで考えを改めたらしい。キバナはどこか我がごとのように誇らしく思っていた。
ミーティングルームに入り早速先ほどのバトルを再確認する。バトルは常に録画されているため皆食い入るように映像を見ていた。
「……もしかして先ほどのバトルですか?」
「ああ、序盤から見応えありすぎるぜ」
トレーナーはみなキョトンとしている。先ほどの映像にはリネアの姿だって映っているのに何故自身のバトル映像だと気づかないのか。一人が小さく声を漏らした。
「え……もしかして……目が悪いんですか」
「あ、はい……すみません、お伝えそびれていました。光があるかどうかはわかるんですがそれ以外は見えないんです」
全員息を呑む。キバナはすかさず声をかけた。
「リネアはすげぇトレーナーだ。お前たちに”目が見えていない“ことを悟らせないバトルができるくらい、技術はこの場の誰よりもある。だからアドバイザーとして招いた」
「ありがとう、ございます。みなさんのお役に立てるよう頑張ります」
それからはリネアの戦術組み立て、バトル把握、あらゆる質問を投げかけられていた。的確に回答しリネアが得ている技術を口頭で伝える。リネアの持つものは天性のセンスなどではない。理屈と努力が成す設計されたバトルだ。
白熱する質疑応答にキバナはにこにこしながら聞いていた。
「バトルに応じてくれて助かったぜ」
「いえ、私もすごく楽しかったです」
リネアにとっても今回は実のあるものだったに違いない。どこか卑屈めいていた姿も今は胸を張っている。
「明日からよろしくな」
「こちらこそ、よろしくお願いします」