禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第4章 爆殺神の彼は彼女を拾う 【ヒロアカ 爆豪勝己】
「……ばく、ごう…くん……ごめ、なさ……」
「謝んじゃねぇ……っ。悪ィのは全部、あのゴミだ」
爆豪の胸元で、いのりは壊れた人形のように嗚咽を漏らした。
爆豪は彼女の耳を塞ぐように強く抱きしめ、周囲に集まってきた他のヒーローや救急隊を「近寄んじゃねぇ、殺すぞ!」と鋭い眼光で追い払う。
「……帰るぞ。俺たちの家に」
マンションの静寂が、かえっていのりの耳には直哉の嘲笑やヴィランの卑屈な笑い声を増幅させて届けていた。
ガタガタと震えが止まらない。
爆豪に抱きしめられていても、肌に残る感触が、自分を再び禪院家の泥沼へと引きずり戻そうとしている気がして、いのりは息を乱した。
「……っ、は、あ……っ、ごめんなさい、爆豪くん、私……また汚され…っ」
「謝んな。お前は何も悪くねぇ」
爆豪は、震える彼女の肩に大きな手を置き、包み込むように抱きしめた。
彼の体温はいつも通り高く、清潔な火薬の匂いがする。
それはこの世界で唯一、彼女を「モノ」ではなく「人」として繋ぎ止めてくれる錨だった。
「……嫌な記憶、全部消してやる」
爆豪は彼女の顎を優しく上向かせると、涙で濡れた頬を指で拭った。そして、迷うことなく唇を重ねる。
それは、直哉に無理やり奪われてきた荒々しい口付けとは正反対の、慈しみに満ちた熱だった。
触れるだけの、けれど深い慈愛を込めたキス。
いのりの脳裏を埋め尽くしていたどす黒い記憶が、爆豪の真っ直ぐな熱によって、白く、鮮やかに上書きされていく。
「ん、っ……ふ、……っ」
深く、甘い口付けが繰り返されるうちに、いのりの強張っていた身体が少しずつ解けていく。
爆豪の舌先が優しく彼女を導くたびに、恐怖ではなく、愛されているという実感が熱となって背筋を駆け抜けた。
「爆豪、くん……っ。……お願い。私を、抱いて……こんな、汚い身体で、申し訳ない、んだけど……」
いのりは彼のシャツの胸元をぎゅっと掴み、潤んだ瞳で訴えた。
かつては「蹂躙」でしかなかった行為。
けれど今、彼女は初めて自分の意思で、このヒーローに「上書き」してほしいと願った。
「……汚くねぇって言ってるだろ。……だが、お前、わかってんのか。……俺は、一度抱いたら、もう、我慢してやれるほどお人好しじゃねぇぞ」