禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第14章 へなちょこな彼は彼女を愛したい 【REBORN ディーノ】
空港に降り立った瞬間、肌に触れる空気の重みにいのりは一瞬息を呑んだ。
懐かしいはずの日本の空気。
けれど、それは記憶にあるものとは決定的に違っていた。
かつての日本はもっと淀んだ、目に見えない呪力の澱のようなものが肌にまとわりついていたはずだ。
しかし、今ここで感じる風には、そうした「不浄な気配」がひとかけらも混じっていない。
(……空気が、軽い?)
いのりは世界が変わったことにはまだ気づいていない。
ただ、自分の体調や気分のせいだろうと自分に言い聞かせ、いのりは少しだけ首を傾げた。
「どうした? 気分でも悪いか?」
隣を歩くディーノが、敏感に彼女の変化を察して声をかけてくる。
彼は、先ほどから空港内の視線を一身に集めていた。
「いえ、……なんだか、思っていたより怖くないなって。もっと、息苦しい場所だと思っていました」
「はは、そうか。そいつは良かった。俺がいるから、空気が気を利かせてくれたのかもな」
ディーノは冗談めかして笑いながら、自然な動作で彼女の腰に手を添えた。
背後には、スーツで身を固めたロマーリオと数人の部下たちが、周囲を威圧するように控えている。
空港の外に出ると、そこには見慣れたはずの日本の看板や風景が広がっていた。
けれど、やはり何かが決定的に違う。
すれ違う人々、どこを見渡しても、今まで感じていたような禍々しい呪力の残滓がどこにも見当たらないのだ。
「さて、まずは並盛っていう町に、俺の弟分になる予定の奴がいるんだ。まずはそいつに挨拶しに行かねーとな」
「弟分……ですか?」
「ああ。ボンゴレの次期ボス候補だっていう、沢田綱吉……通称ツナだ」
車に揺られて到着した並盛町は、どこにでもある穏やかな住宅街だった。