禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第14章 へなちょこな彼は彼女を愛したい 【REBORN ディーノ】
翌日、抜けるような青空の下、いのりはディーノとロマーリオと共に街へ繰り出した。
イタリアの活気ある街並みは、どこを切り取っても絵画のように美しい。
いのりは並んでいる高級なブティックに気後れし、なるべく目立たない、シンプルなデザインの服を数着だけ手に取った。
「あの、これだけで十分です。本当に……」
申し訳なさに身を縮めるいのりだったが、ディーノは「そんなこと言うなよ」と、棚に並ぶ色鮮やかな服を次々と指差していく。
「これなんか君に似合うと思うし、こっちのスカートも歩きやすそうだ。あ、これも可愛いな! 遠慮することないって、全部俺からのプレゼントなんだから」
「でも、こんなにたくさん……。持ち帰るのも大変ですし……」
「はは、心配いらないよ。全部まとめて屋敷に届けさせるから」
ディーノは慣れた手つきで店員に指示を出し、あっという間に何十着もの服を買い上げ、配送の手配を済ませてしまった。
その淀みのない振る舞いはスマートで、まさに「ボス」そのものだった。
その後、靴屋でも同じように何足か選ばされ、最後に向かったのは下着の専門店だった。
繊細なシルクやレースが並ぶ店の入り口で、ディーノは当然のような顔をして、そのままいのりと一緒に中へ足を踏み入れようとした。
「……ディーノさん。ここは、一人で入ります」
「えっ? なんでだよ。サイズとか、俺が見た方が……」
いのりが頬を赤らめて毅然とした態度で立ちふさがると、ディーノはようやく自分の言動が、デリカシーに欠けていたことに気づいたらしい。
「あ……。ああ! そうだよな、悪い! 日本じゃこういうの、男がついていくもんじゃないんだっけ……」
急激に顔を真っ赤にしたディーノは、動揺して自分の足をもつれさせ、背後のロマーリオにぶつかりそうになった。
「ボス、外で待っていましょう」
ロマーリオに呆れられ、顔を赤くしたディーノは、「わ、わかってるよ!」と逃げるように店の外へ出る。
「……じゃ、じゃあ、ここで待ってるから! ゆっくり選んでこいよ!」
背を向けてそわそわと落ち着かない様子で立ち尽くすディーノ。
その姿を見て、いのりは少しだけ可笑しくなり、さっきまでの緊張がふっと解けるのを感じた。