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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー

第14章 へなちょこな彼は彼女を愛したい 【REBORN ディーノ】


歓迎パーティーの後、案内されたのはディーノの自室に最も近い、一際豪勢な客室だった。



重厚な木製の扉を開けると、そこには高級ホテルのスイートルームを凌ぐような光景が広がっていた。
足が沈み込むほど柔らかな絨毯、天蓋の付いた大きなベッド、そして窓から見えるシチリアの夜景。
禪院の古びた、畳の部屋とは何もかもが違いすぎた。


「……まるで、夢を見ているみたい」


ぽつりと漏れた呟きに、後ろに立っていたディーノが満足げに目を細める。


「気に入ってくれたなら良かった。この階なら俺やロマーリオもすぐ近くにいるから、何かあっても安心だろ? 欲しいものがあれば、遠慮なく言ってくれよ。何でも用意させるからさ」


眩いほどの笑顔でそう言われ、いのりは慌てて首を振った。


「いえ、そんな……これ以上は申し訳ないです。こんなに良くしていただいているのに」


「水臭いこと言うなよ。明日、街に必要なものを買いに行こう。服だって、今のままじゃ足りないだろ?」


そう言われて、いのりは自分が借り物のワンピース一枚であることを思い出した。
下着だって、ここで洗ってもらったものを着回すしかない。
生活していく上で最低限必要なものは、どうしても必要だった。


「……それじゃあ、着替えとか、ほんの少しだけ……お願いしてもいいですか?」


恐縮しながら、消え入りそうな声で答える。


「ああ、もちろん! ほんの少しと言わず、好きなだけ選ぶといい。女の買い物に付き合うのは、男の大事な仕事だからな」


ディーノはそう言って快活に笑い、彼女の緊張をほぐすように軽く肩を叩いた。


「じゃあ、今日はゆっくり休め。おやすみ、いのり」


彼が部屋を出て、静寂が戻った室内。
ふかふかのベッドに腰を下ろすと、シーツからは清潔な香りがした。
明日が来るのが怖いと思っていた毎日が、嘘のように遠のいていく。


(明日は、買い物……)


これからの生活への期待と、少しの不安。


それでも、隣の部屋に自分を「守る」と言ってくれた人がいるという事実は、いのりの心をこれまでにないほど穏やかに眠りへと誘っていった。



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