禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第14章 へなちょこな彼は彼女を愛したい 【REBORN ディーノ】
その落ち着き払った態度が、冗談ではないことを物語っている。
いのりの血の気が、一気に引いていった。
マフィア。
それは日本の「極道」という言葉以上に血生臭く、恐ろしいイメージを伴って響く。
自分はまた別の地獄へ迷い込んでしまったのではないか。
「あの……私、売られるんですか……?」
「……えっ?」
「それとも、また、あんな風に……」
直哉にされていたことを思い出し、いのりの肩がガタガタと震え出す。
マフィアなら、女をモノのように扱うことなど造作もないはずだ。
せっかく逃げてきたのに、今度は異国の犯罪組織に捕まった。
そう思うと、視界が急激に暗くなった。
「ははは! 売るって、君をか? ないない、絶対にない!」
突然、ディーノが腹を抱えて笑い出した。
あまりに突き抜けた明るい笑い声に、いのりは呆然として顔を上げる。
「何が悲しくて、こんな綺麗な女の子を売り飛ばさなきゃならないんだ。俺はこれでも騎士道精神ってやつを大事にしてるんだぜ。レディを泣かせるような真似は、死んでもしない」
ディーノは笑いすぎた目尻を指で拭うと、今度は真剣な、それでいてひどく温かい眼差しを彼女に向けた。
「怖い思いをさせたみたいで悪かったな。でも安心してくれ。俺たちの仕事は、身内や、俺たちを頼ってくる連中を守ることだ。今の君は、俺の大事な客人で、……俺が守りたいと思った女の子だよ。そんな悪いことは、絶対にさせない」
その声には、不思議と人を安心させる力があった。
日本で見てきた、力だけで人を屈服させる呪術師たちの傲慢さとは、何かが決定的に違っている。
「……本当に、売ったりしない?」
「誓ってもいい。ロマーリオ、俺がそんなことしたら、リボーンに報告していいぞ」
「言われずともそうします。ですが安心してください、いのりさん。ボスは部下がいないと階段から落ちるような男ですが、筋の通らないことは嫌う人です」
ロマーリオの言葉に、ディーノは「おい!」と苦笑いしながらも、いのりに向かって大きな掌を広げて見せた。