禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第14章 へなちょこな彼は彼女を愛したい 【REBORN ディーノ】
「なんで……私は、あそこで、直哉さんに……」
ディーノは彼女の乱れた衣服から覗く「跡」を見て、一瞬だけ鋭い目つきをしたが、すぐに優しく彼女の背中をさすった。
「事情は後でいい。……まずは温かいシャワーと、清潔な服が必要だな。ロマーリオ、車を回してくれ」
『はい、ボス』
「……ほら、立てるかい? 俺の屋敷へおいで。君を、最高の客として招待するよ」
差し出された大きな手。
それは、いのりを「胎」としてしか見ていなかった男たちのものとは、決定的に違っていた。
重厚な扉が開くと、そこは日本で見慣れた和風のしきたりとは無縁の、圧倒されるほど豪勢な屋敷だった。
高い天井、磨き上げられた大理石の床。
圧倒されるいのりを、ディーノは優しく促した。
「まずは体を温めてきな。ゆっくりでいいから、汚れも全部流してくるといい」
案内されたバスルームは、一部屋分はあろうかという広さだった。
湯船に浸かり、こびりついていた不浄な痕跡を丁寧に洗い流す。
鏡に映る自分の体には、まだ直哉に付けられた痣が痛々しく残っていたが、立ちのぼる湯気が、張り詰めていた心を少しだけ解きほぐしてくれた。
脱衣所に用意されていたのは、繊細なレースが施された淡い色のワンピースだった。
それを纏って外に出ると、控えていた部下の一人が恭しく一礼する。
『こちらへ。ボスがお待ちです』
案内された先は、陽光が差し込むテラスだった。
そこにはジャケットを脱ぎ、少しリラックスした様子のディーノが座っていた。
彼はいのりの姿を認めると、パッと表情を明るくした。
「あぁ、出てきたか。……うん、やっぱりよく似合ってる。すごく綺麗だ」
真っ直ぐな称賛に、いのりは思わず俯いた。
そんな言葉、あそこでは一度もかけられたことがなかったからだ。
ディーノは照れ隠しのように笑うと、テーブルの上のカップを指差した。
「コーヒー、淹れたてだ。飲みながら、少し話をしようか」
香ばしい香りが鼻をくすぐる。
彼女がそれを一口含んで落ち着いたのを見計らって、ディーノは穏やかな声で問いかけた。