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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー

第14章 へなちょこな彼は彼女を愛したい 【REBORN ディーノ】


視界が真っ白に弾けた。
頬をなでる風が、あの陰湿な禪院の屋敷のものとはまるで違っていて、冷たく、それでいてどこか乾いた、知らない土地の匂い。


「……っ」


いのりが目を開けると、そこは石畳の路地裏だった。
ずり落ちた服ははだけ、肌には赤い鬱血の跡が散っている。
何より、脚の間を伝い落ちる不浄な温もりが、ついさっきまで行われていた陵辱の証を突きつけていた。


『おい、どうしたんだ?! 大丈夫か、お嬢さん!』


頭上から降ってきたのは、驚きを含んだ声。
いのりが顔を上げると、陽光を反射させたような眩い金髪が揺れていた。
彫りの深い顔立ちに、高級そうなスーツ。
青年は彼女のあまりに無惨な姿を認めると、一瞬だけ目を見開いた。


『ひどいな……。ロマーリオ、上着!』

『ボス、もう脱いでますよ。ほら』


青年のすぐ後ろ、眼鏡をかけた落ち着いた風貌の男が、手際よく自分の上着を差し出す。
青年はそれを受け取ると、いのりの前に膝をつき、包み込むように肩にかけた。


『もう大丈夫だ。何があったか知らないが、ここでは誰も君を傷つけない』


上質な生地の重みと、彼から伝わる穏やかな熱。
それは直哉の暴力的な熱とは正反対のものだった。
けれど、言葉がわからない彼女はただ、呆然と彼を見つめることしかできなかった。


「……ぁ、……あ」

『……落ち着いて。大丈夫だ』


ディーノはいのりの顔を覗き込み、ふっと表情を和らげると、今度は流暢な日本語で語りかけてきた。


「……君、日本人? 日本から来たのかい?」

「……日本、人……えっ、……ここ、日本じゃ、ないの??」


聞き慣れた母国語。
驚きで目を見開くいのりに、彼は屈託のない笑みを浮かべる。


「よかった、通じるみたいだ。俺はディーノ。こっちの渋いのがロマーリオだ。……ここはイタリア。君がさっきまでどこにいたのかはわからないが、もう大丈夫」


イタリア。

あんな呪いと因習にまみれた場所から、一瞬で海の向こうへ来られるはずがないと彼女は混乱した。





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