禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第13章 呪われた彼は彼女に救われたい 【銀魂 土方十四郎】
静まり返った屯所の門前に、幾つもの重い足音が響いた。
暗い廊下で一晩中祈り続けていたいのりは、その音を聞いた瞬間に弾かれたように走り出した。
縋るような思いで玄関へ辿り着くと、そこには朝日と血の匂いを纏い、ボロボロになった男たちの姿があった。
「……ただいま戻ったぞ、いのりちゃん!」
近藤の声に、彼女の視界が一気に歪んだ。
先頭で肩を貸し合いながら歩く隊士たちの中心に、誇り高き真選組の隊服を真っ直ぐに着こなした男が立っていた。
「……ひ、ひじかた……さん……っ」
「よぉ。……ひでェツラだな。ずっと泣いてやがったのか」
土方はそう言って、不器用そうに口角を上げた。
その瞳にはもう、あのトッシーの虚ろさは微塵もない。
鋭く、けれど深く温かい、彼女を救い出した時のあの光が戻っていた。
「よ、よかっ……うっ、…よかったぁ……っ!!」
いのりはその場に泣き崩れた。
山崎の訃報、仲間の裏切り、そして愛した人の変貌。
張り詰めていた糸が切れ、子供のように声を上げて泣きじゃくる彼女を、土方は黙って見つめていた。
「おい、いつまでも玄関先で泣いてんじゃねェ。……ったく、これじゃどっちが病人かわからねーな」
土方はそうぼやきながらも、彼女の頭に優しく手を置いた。
傷の手当てを終え、ようやく静まり返った屯所。
土方は独り、副長室でボロボロになった御守りを見つめていた。
そこへ、温かい茶を持ったいのりが、まだ赤く腫れた目でそっと入ってきた。
「……土方さん。失礼します」
「ああ、座れ」
茶を一口啜った土方は、ふと思い出したように懐から「それ」を取り出し、畳の上に置いた。
「これ……あんたに返しておく。中身の力だか何だかは、もう使い切っちまったみたいだがな」
「……御守り」
真っ黒に焼け、形も崩れてしまった不恰好な御守り。
いのりが自分の呪力をすべて注ぎ込み、指を針で刺しながら必死に縫い上げたものだ。
「……役、に立たなかったですよね。ごめんなさい、私に力がもっとあれば……」
「馬鹿言うな」
土方は遮るように言った。