禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第13章 呪われた彼は彼女に救われたい 【銀魂 土方十四郎】
(土方さん……負けないで……私に生きる希望をくれたのは貴方なのに……!)
「……私は、土方さんを信じます。あの人は、こんなところで終わる人じゃない」
いのりの決然とした言葉に、伊東は冷ややかな笑みを浮かべ、沖田は黙って彼女を見つめた。
真選組を揺るがす巨大な動乱の足音が、すぐそこまで迫っていた。
運命の日は、あまりにも呆気なく、そして残酷に訪れた。
真選組の今後を左右する重要な会議。
張り詰めた空気の中、最後に現れた土方の姿に、その場にいた全員が息を呑んだ。
「……遅れてすんません。……あ、これ。頼まれてた焼きそばパンでござる」
土方は脇に抱えていたポリ袋から、潰れた焼きそばパンを取り出した。
あろうことか、会議の最中にそれを一番隊隊長の沖田へと差し出したのだ。
「土方さん、遅いですよ。お腹空いて死ぬところでした」
「……お、おう。すまなかったな、総悟氏。拙者、購買部で並ぶのに苦労したでござるよ」
いのりは、扉の影からその光景を絶望的な心地で見つめていた。
かつてなら、会議に遅れることなど万死に値すると隊士を怒鳴りつけていたあの人が、年下の沖田にパシリをさせられ、ヘラヘラと笑っている。
その醜態は、伊東鴨太郎にとって絶好の好機となった。
「……近藤君。これが、君が信頼を寄せた副長の成れの果てだ。もはやこの男に、真選組の法度を語る資格はない」
伊東の冷徹な宣告により、土方はその場で副長の座を追われた。
「土方さん……っ!」
荷物をまとめ、うつむき加減で門へと向かう彼の背中に、いのりは必死に駆け寄った。
「待ってください! 私も行きます。どこまでも、お供させてください!」
縋り付こうとしたいのりの手を、土方は冷たく振り払った。
その瞳には、かつての鋭い光は微塵もない。
「……鬱陶しいのでござる。拙者、三次元の女子には興味がないと言ったはず。二次元の嫁たちが待つ聖域に、生身の女は不要でござるよ」
「……っ」
突き放すような言葉に、いのりはその場に崩れ落ちた。
かつて路地裏で自分を救い、羽織をかけてくれたあの温かな手。
それが今は、氷のように冷たい。
ショックで声も出ない彼女を置き去りにして、土方はふらふらと、何かに導かれるように門の外へと消えていった。