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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー

第13章 呪われた彼は彼女に救われたい 【銀魂 土方十四郎】


屯所の庭先では、隊士たちが集まって自慢の業物を抜き身で披露し合っていた。

「見てくださいよ、この反り! 切れ味抜群ですよ」

「へっ、俺の刀の方が業物だ。昨日研ぎに出したばっかりでね」


そんな男たちの無邪気な様子を、いのりは縁側に座って微笑ましく眺めていた。
禪院家にいた頃、刀は「人を傷つけるための凶器」か「術師の道具」でしかなかったが、ここでは男たちの相棒のような、温かな愛着を感じる。


「……あ、土方さん。お帰りなさい」


夕暮れ時、戻った土方の姿を見つけ、いのりは立ち上がって駆け寄ったが、数歩近づいたところで、彼女の足がピタリと止まる。


「……? どうした、いのり」

「土方さん、その腰の……」


土方の腰には、見慣れない拵えの刀が差されていた。
呪力がほとんどないいのりでも、呪いの本場である禪院家で育った感覚は消えていない。
その刀からは、どろりとした、粘りつくような「澱み」が溢れ出していた。


「ああ、これか。刀が刃こぼれしてたからな。刀鍛冶に預けてる間借りたんだ。『村麻紗(むらましゃ)』っていうらしい。……おい、顔色が悪いぞ。腹でも下したか?」

「いえ、そうじゃなくて……。その刀、どこか……変です。嫌な感じがします」


いのりの声が震える。
呪術師ではない彼女には、それ以上のことは判らない。
ただ、低級な呪霊のような、不快な気配が土方の背後にべったりと張り付いているのが見えた。


「変? 研ぎも完璧だし、吸い付くような手馴染みだぜ。……おかしなこと言うな」


土方は鼻で笑い、そのまま奥へと歩いていく。いのりはその後ろ姿を、ただ不安げに見送ることしかできなかった。



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