禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第13章 呪われた彼は彼女に救われたい 【銀魂 土方十四郎】
「……いえ。土方さんが、そう言ってくださるなら」
いのりは深く頭を下げた。
「お願いします。私に、できることがあれば……何でもやらせてください」
「……決まりだな。じゃあ、退院の手続きが済み次第、連れて行く。まずはその、死にそうなツラをどうにかしろ」
土方は立ち上がり、部屋を出る間際にボソッと付け加えた。
「……悪いようにはしねェからよ」
その背中を見送りながら、いのりは昨日からずっと握りしめていた拳を、ようやく解くことができた。
退院したいのりを連れ、土方が真選組の屯所の門を潜ると、そこは蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
「おい、見ろよ。土方さんが女連れだぜ……!」
「マジかよ、あのマヨラーに春が来たのか?」
ひそひそと、だが隠す気のない隊士たちの視線が刺さる。
いのりは思わず土方の背後に隠れるように身を寄せた。
その震えに気づいたのか、土方は振り返らずに低い声で一喝した。
「ガタガタ騒いでんじゃねェ! 稽古が足りねェ奴は全員切腹させるぞ!」
その怒声に隊士たちが蜘蛛の子を散らすように逃げていく中、一人だけ悠然と歩み寄ってくる影があった。
「おやおや。土方さん、ついに公務中に誘拐ですかィ? 警察が女を拉致しちゃあ、お終いですねィ」
淡々とした毒のある声。
赤い瞳を細めてこちらを見るのは、一番隊隊長の沖田総悟だった。
「……総悟。死にてーのかてめーは」
「へぇ、土方さんにしては上等なツラ構えの女を捕まえましたねィ」
「……事情があってうちで預かることになったんだ。……おい、いのり。こいつは無視していい」
土方は沖田の揶揄いを煙草の煙と一緒に吐き捨てると、いのりを促して奥の局長室へと向かった。