禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第12章 糖尿病の彼は彼女を甘やかしたい 【銀魂 坂田銀時】
「……心配すんな。俺はしぶといんだよ。お前を連れて帰らねーと、お妙に消されちまうからな」
「そんな冗談いいから! ……お願い、絶対、無事に帰ってきて」
いのりは、銀時の頬を両手で挟むと、背伸びをしてその乾いた唇に自分の唇を重ねた。
「っ……!?」
不意を突かれた銀時が目を見開く。
それは、禪院の血を引く彼女が込めた無事を祈る「呪い」もとい、「お呪い」だった。
「……死んだら、許しません。ずっと、呪ってやるんだから」
唇を離したいのりが、涙を浮かべながらも凛とした表情で銀時を見つめる。
銀時は一瞬、惚けたように固まっていたが、すぐに口元を緩め、ニカッと笑った。
「……ハッ。こりゃ、死ぬより恐ろしい呪いにかかっちまったな」
「おいおい銀時、戦場の真ん中で何を見せつけられているんだ俺は。武士の嗜みを忘れたか?」
桂が呆れたように揶揄うが、銀時はその声を無視して前を見据えた。
「うるせーよ! ほら、新八! 神楽! いのりを連れてさっさと行け! ……必ず、後で合流する」
「……わかったアル! 銀ちゃん、絶対ネ!」
「行きましょう、いのりさん!」
新八に手を引かれ、神楽と共に船の端へ走るいのり。
彼女は何度も振り返り、迫り来る敵を次々と薙ぎ倒していく銀時の背中を目に焼き付けた。
「さて……ヅラ。お前、さっきの見てただろ。俺、今最高のコンディションなんだわ。……邪魔する奴は、全員ぶっ飛ばすぞ」
「ふん……。惚気を戦力に変えるとは、相変わらず無茶苦茶な男だ」
「「死ねぇぇぇ!!」」
咆哮と共に、二人の伝説が再び戦場を駆ける。
いのりの「呪い」を背負った白夜叉の剣は、もはや誰にも止めることはできなかった。
志村家の一室。
行灯の淡い光が、包帯に巻かれた銀時の姿を照らしていた。
紅桜との死闘から数日。
重傷を負った銀時は、妙の厳命によってこの部屋で絶対安静を強いられていた。
看病を買って出たいのりは、彼の枕元で甲斐甲斐しく濡れタオルを絞る。
「……銀さん、お粥、少しは食べられそうですか?」
「……あー、ダメだ……。身体中がミシミシ言って、指一本動かすのもやっとだわ……。あー痛い。死ぬかも、俺死んじゃうかも」
「そんな……。傷口、また開いちゃったんですか?」