禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第12章 糖尿病の彼は彼女を甘やかしたい 【銀魂 坂田銀時】
「その女の呪い塗れの血は、紅桜にとって最高の栄養源だ。腕を切った時は、こいつが狂喜乱舞していたよ……。もっとだ、もっとその女を切り刻んで、その血を全部啜らせろと……!」
「…………」
銀時の髪が逆立つ。
静かな怒りが臨界点を超え、どす黒い殺気が爆発した。
「……てめぇ、今、なんて言った?」
「……銀さん?」
「お前が世界を壊そうが、誰を斬ろうが知ったこっちゃねぇ。だがよ……」
銀時はいのりをそっと壁際の物陰に下ろすと、その肩を強く抱きしめた。
「いいか、いのり。そこで目を瞑って耳を塞いでろ。……すぐ終わらせる」
「でも、銀さん……っ」
「いいから隠れてろ!!」
怒鳴りつけるような声。
だが、その目は真っ直ぐに目の前の敵を射抜いていた。
銀時はゆっくりと立ち上がり、似蔵へと向き直る。
「……俺の女に、一滴でも無駄な血流させた罪は重いぞ。……そのナマクラごと、粉々に砕いてやるよ」
「はっ、やれるものならやってみるがいい! 」
咆哮と共に、銀時が地を蹴った。
愛する者を傷つけられた白夜叉の猛り。
一撃ごとに船体が悲鳴を上げ、鉄の火花が飛び散る。
爆炎と鉄の匂いが立ち込める紅桜の船上。
激闘の末、銀時はボロボロになりながらも、人の意志を飲み込もうとした異形の妖刀・紅桜を粉砕した。
崩れゆく船体、混乱する鬼兵隊、そして合流した神楽、新八、いのり。
「銀ちゃん!」
「銀さん!」
「……よぉ。お前ら、無事だったか……」
肩で息をする銀時の元へ駆け寄る一行。
だが、逃げ道は既に鬼兵隊の軍勢に塞がれていた。
四方八方から突きつけられる刃。
絶体絶命のその時、爆煙を割って現れたのは、死んだと思われていたあの男だった。
「待たせたな、銀時」
「……ヅラ。テメェ、今までどこで何してたんだよ」
「ヅラじゃない、桂だ! ……話は後だ。ここは俺が引き受ける。お前たちは先に脱出しろ!」
桂が抜刀し、道を作る。
だが、多勢に無勢。
銀時は深手を負った体で再び刀を構えた。
「銀さん、あなたも一緒に……! その怪我で残るなんて……っ」
いのりが銀時のボロボロの着物を掴む。
腕の傷跡から滲む血が痛々しい。
銀時は、いのりの震える手を優しく、けれど強く引き剥がした。