禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第12章 糖尿病の彼は彼女を甘やかしたい 【銀魂 坂田銀時】
「……あの。土方さん、ここ、全然『呪い』の気配がしません」
「……あ?」
「幽霊も、怨霊も、ここには一匹もいませんよ。もちろん、呪力のような悪いエネルギーも感じません」
きっぱりと言い切ったいのりに、宙吊りにされていた銀時が「え、お前わかるの?」と驚いた声を上げる。
「はい。私、そういう『悪い気配』には敏感なんです」
その言葉を聞いた瞬間、周囲の反応が真っ二つに分かれた。
「いのり本物の霊能力者アルか!? 宇宙の悪い霊も見えるネ!?」
「かっこいいです、いのりさん! 本当に陰陽師みたいじゃないですか!」
目を輝かせて食いつく神楽と新八に対し、大人組は一歩引いた。
「……え、ガチなの? 霊感とかそういう……ガチの人? 」
「……お嬢さん、悪いがそういうのは専門外なんだ。あまり不気味なことは言わねぇでくれ……」
「………え、引いてます? 銀さんと土方さん、すごく引いてますよね?」
銀時が逆さ吊りのまま、虚無の表情でツッコんだ。
「……あの、私、変なこと言いましたか……?」
困ったように首を傾げるいのり。
そんな彼女の肩を、銀時が必死に励まそうとする。
「あ、いや、いいんだ。お前のその『心霊探知機』、役に立つから。……でもな、土方みたいなビビりには刺激が強すぎるんだわ」
「誰がビビりだァァ!!」
真昼間の屯所に、怒号と困惑、そしてかすかな「羽音」が響き始めていた。
「……呪いじゃないなら、俺たちお呼びじゃねーな。はい撤収。帰ってジャンプの発売日待つぞ」
逆さ吊りから解放された銀時が、耳をほじりながら帰ろうと背を向けた。だが、その肩を土方が必死の形相で掴む。
「待て! 待てっつってんだろ! 呪いだろうが何だろうが、隊士が次々倒れてんのは事実なんだよ! 解決しやがれこの天然パーマ!」
「嫌だよ。幽霊ならお札の一枚も貼ってりゃ済むけど、実体があるならお前ら警察の仕事だろーが」
「金なら払う! 倍だ、倍払ってやるから夜まで待て!」
「……。…………現金なもんで、急にやる気が出てきたわ。おーい神楽、夜勤だぞ」
結局、銀時たちは夜まで屯所に居座ることになった。