禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第12章 糖尿病の彼は彼女を甘やかしたい 【銀魂 坂田銀時】
夕暮れ時、道場の門を叩く音が響いた。
「おーい、……迎えに来たぞ」
少し疲れた顔の銀時と、泥だらけの神楽が顔を出した。
新八は「じゃあ僕はこれで!」と実家の道場に残り、銀時、神楽、いのりの三人で万事屋への帰路につく。
家に着くと、そこはいつもの、騒がしくて雑多な「万事屋」だった。
いのりはいつも通りに夕食の準備を始めたが、包丁を持つ手が時折かすかに震え、背後で戸が開く音がするたびに、ビクッと肩を跳ねさせてしまう。
その様子を、銀時はリビングのソファから黙って見つめていた。
「いのり! 今日は私が背中を流してやるアル! 一緒にお風呂入るネ!」
「えっ、神楽ちゃん? ……ふふ、ありがとう。じゃあ一緒に入ろうか」
神楽に手を引かれ、いのりが風呂場へと消えていく。
残された銀時は、リビングで一人、「いいなァ……」と盛大にため息をついた。
「なんだよ、俺だって流してやりてーよ。……いや、流すどころか、こう……ムフフな展開が……」
数十分後。
湯気と共に上がってきた二人は、どこかさっぱりとした顔をしていた。
だが、寝る準備を整え、いつものようにリビングの衝立の向こうに自分の布団を敷こうとするいのりの足取りは、どこか頼りなげだった。
部屋の灯りを消し、銀時が自分の布団に入った時。
衝立の向こうから、シーツが擦れる音と、小さく押し殺したような吐息が聞こえてくる。
「……おい。……寝れねーのか」
「……あ。……すみません、起こしちゃいましたか?」
「いや、元から目が冴えてんだよ。糖分が足りねーのかな」
銀時はわざとらしくあくびをしながら、暗闇の中で天井を見上げた。
昼間の「縄」の記憶が、まだ彼女を苛んでいるのは明白だった。
「……なぁ、いのり。そんなに怖いならよ……こっち、来るか?」
「え……?」
「冗談だよ、冗談。俺の布団、ジャンプの読みすぎでちょっと加齢臭するかもしれねーしな」
銀時は鼻を鳴らして背を向けようとした。
だが、その背中に、控えめな、けれど確かな重みが触れた。
「……いいんですか?」
「…………マジで?」