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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー

第12章 糖尿病の彼は彼女を甘やかしたい 【銀魂 坂田銀時】


「……っ、うぅ……っ」

銀時の胸の中で、いのりは声を押し殺して震えていた。
縄は解けたが、心に食い込んだ「恐怖」という縄は、まだ彼女を縛り付けたままだった。
銀時は彼女の細い肩を抱き寄せ、その震えが自分に伝わるのを感じて、奥歯を噛み締めた。

「……悪いな。一人にして置けねーわ。……ちょっと、場所変えるぞ」

銀時はさっちゃんを放置し、いのりを支えながら外へと連れ出した。
向かった先は、お妙の道場だった。



「あら、銀さん。そんなに血相を変えてどうしたんですか?」

お妙はボロボロのいのりを連れた銀時を見て、すぐに冗談を言う空気ではないことを察した。
銀時はお妙を少し離れた場所に呼び、手短に、けれど苦々しく事情を話した。

「……ってわけでよ。さっちゃんのバカが余計なことしやがって。しばらく、こいつのこと頼めるか?」
「わかりました。……銀さん、あとのことは私に任せて、依頼に行ってきなさい」
「悪い。……おい、いのり。俺、さっさと仕事終わらせて迎えに来っから。大人しくお妙さんの言うこと聞いてろよ」

銀時が去り際に振り返ると、いのりは不安げに彼の着物の袖を掴もうとして、空を仰いだ。
その少し寂しそうな、縋るような瞳に、銀時は一瞬だけ立ち止まったが、フイッと顔を背けて階段を降りていった。

「……さあ、いのりさん。そんな顔しないで。あんな天然パーマ、どこにいてもすぐ見つかるし、逃げやしませんから」

お妙は優しく彼女の手を引き、奥の部屋へと招き入れた。

「女子会しましょ!美味しいお茶を淹れて」

お妙の明るい、けれど芯のある声に、いのりは少しだけ肩の力を抜いた。

「ありがとうございます、お妙さん。……銀さん、怒ってましたよね。私のせいで……」
「あの人は、あなたが傷つくのが許せなかっただけ。……ふふ、あんなに必死な顔した銀さん、久しぶりに見たわ」

お妙は茶菓子を並べ、女子会のような雰囲気で楽しげに話し始めた。他愛もない街の噂話、新八の苦労話。
お妙の竹を割ったような性格に触れるうち、いのりの心に溜まっていた澱(おり)が、少しずつ晴れていくのを感じていた。


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