禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第12章 糖尿病の彼は彼女を甘やかしたい 【銀魂 坂田銀時】
(……ダメだ、全然動けない……。銀さん、お酒臭い……でも、あったかい……)
耳元で聞こえる銀時の規則正しい寝息。
自分を守ろうとしてくれた彼の不器用な優しさを思い出し、いのりは次第に抵抗する力を失っていった。
そのまま、安心感に包まれるように、彼女も深い眠りへと落ちていった。
「おはよーございまーす! 銀さん、いつまで寝てるんですか! 今日は朝から依頼が……」
ガラッ、と景気よく襖が開け放たれた。
そこに立っていたのは、出勤してきた新八である。
「……え」
新八の視線の先には、一つの布団で重なり合うように眠る男女。
銀時の太い腕の中に収まり、上気した顔で眠るいのり。
「……あ、新八くん……おはよ……」
先に目を覚ましたいのりが、状況を思い出して一気に顔を林檎のように赤く染める。
その声で、銀時もようやくうっすらと目を開けた。
「……んあ? ……新八ぃ? 朝から何絶叫して……っつーか、なんで俺の腕の中に、お嬢さんが……?」
銀時は自分の腕の中にある柔らかい感触と、いのりの真っ赤な顔を見て、数秒間フリーズした。
「……。…………………え?」
「え、じゃなーーーーいっ!!!!」
新八の怒号が万事屋を震わせた。
「何やってるんですかあんたはァァ!! 手を出した!? ついに一線越えちゃったんですか!? この天然パーマ! この獣! 汚らわしい!!」
「ま、待て新八! 誤解だ! 俺はただ、その、昨日の記憶が……っ、酒! 酒のせいだ!」
「酒のせいにすれば何でも許されると思ってんのかコラァ! いのりさん、今すぐ逃げて! こんな不潔な天パの菌がうつる前に!」
「ち、違うんです、新八くん! 銀さんはただ、私を守ろうとしてくれて……」
「守る方法が添い寝なわけないでしょーが!!」
大パニックの新八と、本気で焦りまくって布団の上でのたうち回る銀時。
そんな二人を見て、いのりは恥ずかしさで死にそうになりながらも、どこか心の奥が温かくなるのを感じていた。
「……もう、朝から騒がしいネ」
彼女の小さな呟きは、新八の怒鳴り声と銀時の言い訳にかき消されていった。