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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー

第12章 糖尿病の彼は彼女を甘やかしたい 【銀魂 坂田銀時】


万事屋にいのりが来てから、一ヶ月が経った。
当初のぎこちなさは消え、彼女は自然と「銀さん」「新八くん」「神楽ちゃん」と呼ぶようになっていた。
何より変わったのは、坂田家の食卓だ。

「……うめぇ。何だこれ、うめぇ。この肉じゃが、ジャガイモの角が取れてて味が染みまくってるアル!」

「神楽ちゃん、落ち着いて! ……でも本当に美味しいですね。銀さん、僕ら今まで何を食べて生きてきたんでしょうか」

「……卵かけご飯だな」

銀時はそう言いながらも、箸を動かす手は止まらない。
かつては脱ぎ散らかした着物とジャンプが散乱していたリビングも、今はいのりの手によって隅々まで磨き上げられ、窓から入る風すらどこか清々しい。

「みんな、お代わりはあるから、たくさん食べてね」

エプロン姿のいのりが微笑むと、殺風景だった万事屋にパッと花が咲いたような空気になる。
依頼でボロボロになって帰ってきても、温かいご飯と「お帰りなさい」という声がある。その事実に、三人は心底救われていた。




しかし、銀時には一つだけ、面白くないことがあった。
夜、週に三回ほど下のお店を手伝ういのりの姿だ。

「おいババア、もう一杯。……あと、あっちの角のハゲ親父、さっきからいのりの手を握りすぎだろ。指へし折っていいか?」

カウンターの端で、銀時が不機嫌そうにグラスを煽る。
その視線の先では、いのりが客に囲まれ、困ったように、けれど健気に微笑んでいた。

「いのりちゃん、今日も綺麗だねぇ。かぶき町の濁った空気にはもったいない素直さだよ」
「ありがとうございます。でも、お登勢さんやキャサリンさんに助けていただいているおかげですから」

そんな彼女の謙虚な態度が、さらに客を熱狂させる。

「聞いたか今の!? 性格まで天使かよ!」
「いのりちゃん、俺と結婚してくれ! 結納金は出す!」

「……ちっ、どいつもこいつも鼻の下伸ばしやがって。おいキャサリン、お前も仕事しろよ。何で客と一緒に見惚れてんだよ」

銀時が毒を吐くと、隣で同じく彼女を見守っていたキャサリンが鼻を鳴らした。


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