禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第12章 糖尿病の彼は彼女を甘やかしたい 【銀魂 坂田銀時】
唐突な銀時の言葉に、いのりが顔を上げた。
「……え?」
「万事屋銀ちゃん。何でも屋だ。ちょうど人手は…まぁ、足りてねぇこともねーけど、メシの支度やら掃除やら、やることはいくらでもある。住み込みで雇ってやるよ」
鼻をほじりながらぶっきらぼうに言う銀時に、真っ先に噛み付いたのはお登勢だった。
「あんた、バカ言ってんじゃないよ! 自分の家賃も半年以上滞納してるくせに、どの口が言うんだい!」
「痛てっ! ババア、今いいシーンだろーが! 空気を読めよ、空気を!」
お登勢は銀時の頭を拳でグリグリと小突きながら、呆れたようにため息をついた。
「いいかい、この天然パーマはね、自分の食い扶持すら危うい男なんだよ。そんなところで働くより、うちにいた方が……」
「いーや! うちだ! うちで決まりだ。な、嬢ちゃん。ここよりは二階の方がまだマシだぜ。……まぁ、家賃については追々、……俺のボーナスで……」
「あんたにボーナスなんて出たこと一度もないだろうが!」
二人の激しい言い合いを呆然と見ていたいのりだったが、その騒がしさが、今の彼女には何よりも救いだった。
「……ふふ」
思わず漏れた小さな笑い声に、銀時とお登勢がピタリと動きを止める。
「……あ、すみません。……ありがとうございます。私、精一杯働きます。何でもしますから……置いてください」
銀時は少し照れくさそうに顔を背け、「……おー、しっかり働けよ。サボったらパフェ抜きだからな」と、わけのわからない理屈で彼女を受け入れた。
「……というわけでババア。この娘はワケあって、しばらくうちに置くことにしたからよ」
銀時がカウンター越しにぶっきらぼうに告げると、お登勢は紫煙を吐き出しながら、じっといのりを見つめた。
「あんた、自分の家賃も半年以上滞納してるくせに、よくもまあ次から次へと居候を増やすもんだねぇ」
「居候じゃねーよ、立派な戦力……になる予定なんだよ。なあ?」
銀時に促され、いのりはおずおずと一歩前へ出た。
お登勢の鋭い、けれど慈愛に満ちた瞳に見つめられ、彼女は意を決して口を開く。