禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】
白ひげとエース。
二人の亡骸を静かな島へと運び、弔いが行われた。
空はどこまでも青く、残酷なほどに穏やかだった。
「……親父、エース。安らかに眠れよい」
墓標の前に立ち、深く頭を下げるマルコの背中は、数日前よりも小さく見えた。
その隣で、いのりは溢れる涙を止めることができず、ただ声を殺して震えていた。
弔いが終わり、参列した者たちが静かに離れていく中、シャンクスがマルコの隣に歩み寄った。
「……マルコ。これからのことは決めてんのか」
シャンクスの問いに、マルコはすぐには答えなかった。
ただ、じっと自分の拳を見つめ、それからようやく、隣で泣きじゃくるいのりを、壊れ物を扱うような手つきで引き寄せた。
「……あァ。まずは、この子をちゃんと守るところからだよい」
マルコはシャンクスに向き直り、深く、深く頭を下げた。
「赤髪。……二人を引き取ってくれたこと、戦争を止めてくれたこと、何より……いのりを最後まで守り抜いてくれたこと。……本当に、感謝してもしきれねェ」
「よせよ。俺は俺のやりたいようにやっただけだ」
シャンクスは照れくさそうに笑い、それからいのりへ視線を移した。
「……嬢ちゃん。マルコはボロボロだが、心までは折れてねェ。ここからはお前の出番だぞ」
「……はい。シャンクスさん、本当に……ありがとうございました……!」
いのりが深々と礼をすると、マルコはその肩を抱き寄せ、自分の胸元へと彼女を引き戻した。
あの日、レッド・フォース号へ預けた時とは違う、確かで重い「責任」と「愛」が、今のマルコの腕には宿っていた。
「……さぁ、帰るぞ、いのり。俺たちの場所に」
「……いいんですか? 私、またマルコさんの隣にいて……」
「当たり前だよい。あんたがいなきゃ、俺はもう立ち上がれねェ」
マルコは彼女の額にそっと唇を寄せ、あの日睡眠薬で無理やり眠らせてしまった時とは違う、深く、慈しみに満ちた体温を伝えた。
「……おかえり、いのり」
「……ただいま、マルコさん……っ」
愛する家族を失い、深い傷を負った二人。
けれど、絡め合った指先から伝わる熱だけが、新しい明日へと踏み出すための唯一の光だった。