禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】
モニターの中、センゴクの口から語られた「ロジャーの息子」という衝撃の告白に、レッド・フォース号は騒然となった。
「ロジャーの息子だと……!?」
「エースが……まさか、そんな縁があったなんてな……」
幹部たちが絶句する中、シャンクスだけは静かに、遠い水平線を見つめていた。
そして、その出自の意味を完全には理解していないいのりもまた、ただひたすらに映像の中の「家族」の無事だけを願って、静かに拳を握りしめていた。
「……出自なんて、関係ない。エースさんは、私たちの家族だもん……っ」
その呟きに応えるように、映像の中では海を割ってモビー・ディック号が現れた。
戦争が始まると、マルコたちが、親父さんが、大切な家族を取り戻すために命を削っていく。
そして、その瞬間は訪れた。
麦わらのルフィの手によって鎖が解かれ、エースが戦場に解放されたのだ。
「……っ、やった……! エースさん!!」
いのりはモニターの前で、今日初めての歓喜の声を上げた。
これで終わる。
みんなで一緒に、船に帰れる。
そう信じた、次の瞬間だった。
「……あ……」
赤犬の拳が、ルフィを庇ったエースの背中を、無慈悲に貫いた。
「え……嘘、でしょ……?」
言葉を失った。
画面の中のエースが、微笑みながら力尽きていく。
さらに追い討ちをかけるように、時代を築いた大海賊、白ひげまでもが立ったまま命を落とした。
「…嫌ぁあぁっ!! 親父さん!! エースさん!!」
いのりは床にに突っ伏し、喉が千切れるほどに泣き叫んだ。
その絶叫を背に、シャンクスが静かに抜刀する。
「……行くぞ。これ以上、若者の命を散らさせねェ」
レッド・フォース号がマリンフォードの港に滑り込んだ時、戦場は異様な静寂に包まれていた。
シャンクスの一言で戦争は終結を迎え、辺りには硝煙と、血の匂いと、果てしない喪失感だけが漂っていた。
「船からは絶対に降りるな。……いいな?」
ベックマンの厳しい言葉に、いのりは涙を拭いて何度も頷いた。数人のクルーを護衛につけ、彼女はようやく外の空気に触れることを許された。
甲板の端に立ち、変わり果てた戦場を見渡す。
砕けた氷、沈んだ軍艦、そして無数に倒れた男たち。
その凄惨な光景に、彼女は呼吸を忘れて立ち尽くした。
