禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】
レッド・フォース号の客室は、豪華だがいのりにとっては冷たい檻と同じだった。
マルコに刻まれた痕が、服の下でじくじくと疼く。
それが唯一の繋がりであるかのように、彼女は自分の肩を抱いて、一歩も部屋から出ようとしなかった。
「嬢ちゃん、飯持ってきたぞ。少しは食わねェと身体が保たねェよい」
「……いりません。マルコさんのところへ、帰してください……」
ベックマンたちが代わる代わる顔を出しても、彼女が心を開くことはなかった。
そこへ、静かにシャンクスが入ってくる。
彼は床に置かれたままのトレイを一瞥し、彼女の正面に腰を下ろした。
「……マルコを恨んでるか?」
「……恨んでなんて、いません。でも……どうして私だけ、こんなに安全な場所にいるんですか……っ」
「あいつの愛だろうよ。……だが、俺もただ手を拱いて見てるつもりはねェ」
シャンクスは真っ直ぐに彼女を見据えた。
「俺は四皇だ。白ひげを直接助けるような真似をすれば、世界の均衡が崩れる。だが……本当は俺だって、この戦争を止めたいと思ってるし、エースを助けたい気持ちもお前と同じだ」
「……え……?」
「俺たちは今、マリンフォードに向かってる。……できる限りのことはするつもりだ」
いのりの瞳に、微かな光が宿った。
彼女はシャンクスのマントに縋り付くように身を乗り出した。
「お、お願いします……! 何でもします……私の命をあげてもいいから、マルコさんを、エースさんを助けてください!!」
「バカ言え。お前の命なんていらねェよ」
シャンクスは豪快に笑うと、彼女の頭を大きな手で乱暴にかき回した。
「お前にできることは一つだ。笑って飯を食って、元気に過ごせ。マルコが迎えに来た時、お前がガリガリに痩せてたら、あいつに顔向けできねェからな」
「……っ、はい……! 私、食べます。食べますから……!」
希望を見出したいのりは、それから必死に食事を摂るようになった。
いつか来る「その時」に、マルコの足を引っ張らないように。
自分にできる精一杯の準備として、体力を蓄え始めた。
そして、運命の日。
マリンフォードから世界中に発信された「公開処刑」の映像が、レッド・フォース号のモニターにも映し出された。