禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】
次にいのりが目を覚ました時、視界に入ったのは見慣れた医務室の天井ではなく、揺れる豪華な客室の天井だった。
「……あれ……? マルコ、さん……?」
身体に残る熱い疼きと、重だるい感覚。
横を見ても、そこに愛する人の姿はない。
代わりに、扉の近くで酒瓶を置いたシャンクスが、バツが悪そうに頭を掻いていた。
「……よぉ、目が覚めたか。嬢ちゃん」
「シャンクス、さん……? どうして……マルコさんは!? 船は!?」
「……マルコたちは、もう行ったよ。……お前をここに置いてな」
シャンクスの言葉に、いのりの思考が停止する。
昨夜のマルコの異常なまでの執着、そして最後に飲んだあの飲み物。
全てが繋がった。
「嫌……っ、嫌だよ!! 戻して! マルコさんのところに連れて行って!!」
彼女はベッドから飛び出し、扉へ駆け寄ろうとしたが、シャンクスの大きな手がそれを阻んだ。
「ダメだ。あいつに『何があっても行かせるな』って、預かってるんでな。……マルコの覚悟を無駄にするな」
「そんなの、勝手です……っ! 一緒にいるって、約束したのに……!!」
いのりはその場に崩れ落ち、声を上げて泣き伏した。
身体に刻まれたマルコの痕が、ズキズキと熱を持って疼く。
彼が自分を愛しているからこそ、この場所に閉じ込めたのだと分かっていても、置いて行かれた絶望が、彼女の心を真っ二つに引き裂いていた。
「……あぁ、もう。泣くなよ嬢ちゃん。……あいつは、死なねェよ」
シャンクスは不器用に彼女の背中に手を置いたが、いのりの耳には届かない。
遠ざかる波の音の向こうで、愛する人たちが命を懸けて戦おうとしている。
その事実だけが、冷たく彼女を打ちのめしていた。