第5章 その一瞬を切りとる君 【ハイキュー!! 宮侑】
「なぁ、これ。誰が撮ったん?」
部室の床に広げられた、発行されたばかりの校内新聞。
その一面を飾っていたのは、インターハイ準優勝という輝かしい実績と、コートで躍動する「最強の挑戦者」たちの姿だった。
特に目を引くのは、侑がトスを上げる瞬間の横顔だ。
逆光を味方につけたその一枚は、飛び散る汗さえも宝石のように写し出し、実物以上に(と本人は思っているが)凄みのあるイケメンに仕上がっている。
「……サム、知っとる?」
隣でプロテインを流し込んでいた治が、面倒そうに視線を落とした。
「あー……それな。ウチのクラスのやつが撮ったらしいで」
「お前のクラス? 名前は?」
「🌸や。写真部の手伝いしとる言うてたな」
聞いたこともない名前に、侑は新聞の端に小さくクレジットされたその名を指でなぞった。
「へぇ……。話したことないけど、えらい腕ええな。俺の男前さが三割増しくらいになっとる」
「元が残念やから、レンズが頑張ったんやろ」
「なんやとコラ」
小競り合いを始めようとした侑だったが、ふと手を止めて治に問いかけた。
「……で、どんな子なん? その🌸って」
治は少し考える仕草をしてから、ふんわりとした口調で答えた。
「……ええ子やで。よく菓子とか分けてくれるし」
「お前、食いもんの記憶しかねーのか。性格とか、雰囲気とかあるやろ!」
「せやから、ええ子やって。ガツガツしとらんし、空気読んでくれるし。お前みたいな騒がしいタイプとは正反対やな」
治の言葉に、侑は再び写真を見つめた。
レンズ越しに自分たちを、こんなにも熱く、けれどどこか冷静に切り取った少女。
自分に群がる女子たちとは違う、その「距離感」が妙に気にかかる。
「お菓子、分けてくれるんや……」
「お前にはやらんぞ。俺がもらう分が減る」
「ケチくさいこと言うなや! ちょっと挨拶くらい、しに行ってもええやろ」
「……やめとけ。あいつ、お前のこと『被写体としては最高やけど、喋ると台無し』って言うてたぞ」
「……あ??」
会ったこともない相手に下された、辛辣すぎる評価。
侑の眉間に皺が寄るのと同時に、彼の中で🌸という存在への興味が、確かな「闘争心」に近い何かに変わった。