第12章 別れてから
帝光中学バスケットボール部は、もう元には戻らなかった。
練習は続いていた。
試合も、勝ち続けていた。
それでも、以前の帝光とは明らかに違っていた。
青峰は、ほとんど姿を見せなくなった。
必要な日だけ現れて、コートに立てば点を取る。
誰とも目を合わせず、終われば何も言わずに去る。
赤司はそれを止めなかった。
止める理由がないように、淡々と指示を出していた。
紫原は、練習中も試合中も気だるそうで、勝っても負けても表情を変えなかった。
黄瀬は、場を明るくしようと何度か声を上げたが、すぐにやめた。
空気が、それを許さなかった。
緑間は、何か言おうとして、結局何も言わなかった。
言葉が、意味を持たなくなっていた。
雫は、体育館に来なくなった。
必要な手続きだけを済ませて、それ以外の時間は、部には関わらなかった。
青峰と顔を合わせることは、ほとんどなかった。
たまに、遠くから姿を見ることはあった。
視線が重なりそうになって、どちらかが逸らす。
それだけだった。
チームは、静かに完成していった。
誰もが強く、誰もが孤立していて、誰もが他人に興味を持たない。
勝つためだけの集団。
それが、今の帝光だった。
雫は、その様子を知っていた。
でも、何もしなかった。
もう、声をかける理由がなかったから。
青峰も、何も言わなかった。
言えば、また何かを壊してしまう気がしたから。
そうして帝光中学は、最強のまま、完全に壊れた。
誰かが大声で壊したわけじゃない。
誰かが裏切ったわけでもない。
ただ、それぞれが自分の場所に閉じこもって、もう戻ろうとしなかっただけだ。