第5章 触れた過去の余韻
抜かないまま身体を回されて、後ろから抱き締められる。
グリグリと奥に押し付けるように動かされて、吐息が何度も漏れた。
肩に顎が乗り、悟さんの甘く掠れた声が鼓膜を震わせる。
「僕さ――去年、親友を殺したんだ。
高専時代、仲良くてね。
―――僕の手はね、たくさんの血に塗れた手なんだよ」
ヒュッ…と喉が鳴った。
いきなりそんなことを言われて、なんて答えたらいいかわからなくなる。
それでも悟さんは、刺激を止めないまま話し続けた。
「今の生徒の父親を殺して掴んだ力もある。
その子はね、父親は今も生きてると思ってる。
呪霊だけじゃないんだ…僕が殺してきたのは――
汚いでしょ?
いいの?そんな男を好きなまま、全部委ねても」
「……それが、今の…悟さん、でしょ?
ッ、はァ……私は、今の悟さんを、好きになったん、だよ
やっぱり、悟さんは…優しい、ん…
殺したことに、苦しんでる…!」
「そうでもないよ」と答えた悟さんは、それ以上過去のことは話さず、行為に集中した。
今日は――お互いの過去に触れた日。