第3章 第二話:守る
「ああ、わかった!大丈夫だ、お前は死なない!」
ぴくん、と細い肩が震えた。ディオはかたくその体を抱きしめながら、懸命に言う。
「大丈夫だ!俺が…俺がお前を守る!」
少女のこわばっていた体から、ゆっくりと力が抜ける。大きなすみれ色の瞳が、はじめてディオの顔を映した。その目はみるみる涙があふれてくる。少女はまるで幼い子供のように、声を立てて鳴きはじめた。
「すまない……俺が悪かった」
ディオはできるだけやさしい声でなだめる。
「……本当に、すまない……もう大丈夫だから……な?」
少女はディオにすがりついて、なおも泣じゃくっている。きっとコイツは以前、辛い、怖い目に遭ったのだろう。戦争で心に深い傷を負った人間を、ディオは何回も見てきた。
なのに、そんな彼女にしかも命を落とすところだった直後に、荒っぽい言葉をかけ怯えさせてしまった。ディオの胸が痛んだ。