第9章 凍ったまま
アキ…家はここに在るよ。
帰ってきてよ…。
溢れた涙は頬を伝い、顎から落ちていく。
デンジくんから受け取ったピアスやネックレスを胸に抱き締め、泣き崩れた。
止まることを知らない涙が、床を湿らせていった。
「アキ、好き…好きだよ。
アキ、好き……好き…アキ」
もう届くことのない言葉を紡ぎ続ける。
胸は痛くて苦しくて…張り裂けそう。
私はきっと、アキに愛されていた。
私に触れる手の温度、唇の熱、抱き締める腕の優しさ…アキの全てが私を愛して求めていた。
そうか…アキ自身も、身体と心の間に挟まれて苦しんでいたんだ。
だから、あんなに求めてくれていた。
心はマキマさんのものでも、身体は私に向いていた。
アキが本当に愛していたのは――私。
今はもう、それを確かめる術はないけど…アキの存在はこの身体に刻まれている。
私の手の平に収まる程の大きさで帰ってきたアキ。
外すことなくつけてくれていたネックレス。
私があげたネックレスは、私は…アキの真ん中にいた。
「アキ、アキ…」
早川アキ――それが、私が一生に一度、愛した男の名前__。