第9章 凍ったまま
残酷にも時は流れていく。
ある日、お風呂上がりにアキの部屋へ入ろうとしたら、聞こえてしまった。
聞いてしまった。
知りたくない真実と…知らない何者かの声。
"君とパワーは、デンジにぐちゃぐちゃに殺される"
怖くて家を飛び出した。
"君"というのはきっと、アキのこと。
アキは誰と話していたの?
公園の片隅で膝を抱える。
「アキが……デンジくんが…パワーちゃんが…」
なんの声かも、なんの為に言われた言葉なのかもわからないのに、アキがいなくなる未来がはっきり見えた。
アキがいる未来は見えないのに…。
小さくなって震えていると、肩に腕が周り、背中が温かくなる。
アキだ…私の大好きな匂い。
私の大好きな温度。
その時、お腹の底から何かが込み上げてくる。
「うっ…!ヴえっ…ッ…」
抑えられずに地面に吐き出す。
夜に食べた物が全て、夜の土に染み込んだ。
「結那?どうした……
大丈夫か?」
涙が溢れてくる。
背中を摩ってくれるアキの手が心地いい。
瞼が…重力に逆らえなかった。