第8章 白銀の世界に
季節は移ろい行く。
風の冷たさに震える季節が来た。
隣でご飯を作るアキの左腕は…そっと、空の袖を掴んだ。
辞めて欲しいな…もう、何も失くならないで欲しい。
リビングで寝ていたデンジくんが起きる。
何があったのかは知らないが、パワーちゃんはずっと怯えていて、デンジくんにくっつきぱなしだった。
「おはよう」
「デンジくんおはよ」
二人で声をかける。
アキとデンジくんは、私の知らない話をしていた。
パワーちゃんが叫び始めると、デンジくんが押さえる。
騒がしい1日が過ぎて夜になると、デンジくんとパワーちゃんは一緒にお風呂に入ったようだ。
大丈夫かな…と浴室に近付くと、「えっちこわいぃい」というパワーちゃんの声が聞こえて、慌ててリビングに戻った。
デンジくん、マキマさんのことが好きだったよね…?
アキと最後にしたのは、いつだっけ…。
リビングのテーブルで手紙を書くアキの背中を見つめる。
数ヶ月経ったが、まだ書き終わらないらしい。
アキを見つめていると、何度も書いては消してを繰り返していた。