第5章 内側に隠した鈍痛
便器に座り、身を屈める。
電気は点けなかった。
他の人を受け入れないで…キスしないで。
そんなことを言葉に出来るほど私は強くないし、言える関係でもなかった。
頬が濡れる。
雪の上で拭ってくれた指はない。
「アキのばか…」
「結那…」
扉が開き、廊下から漏れた光が差し込む。
鍵をかけるのを忘れていた。
無意識に顔を上げたが、咄嗟に下を向いた。
泣いているなんて、弱いところは見せたくない。
今は…アキを見たくない。
そのままトイレの中に入ってきたアキは、扉を締めた。
薄暗い中、アキが寄せた熱を受け入れる。
お酒が入っている、荒々しいアキ。
アルコールの匂いを含ませた熱い吐息が、何度も私の唇にかかる。
絡んだ舌が熱くて、身体の奥から発熱した。
頬を包んだ手が首を掠め、鎖骨を撫でて胸を通り過ぎる。
下着の中に滑り込んだ指が、クリトリスに触れた。
舌を絡ませたキスだけで湿った私の秘められた部分は、滑ったアキの指を受け入れた。
交わる舌とアキに暴かれる中が、一緒に水音を立てる。
「結那…気持ちいい?」
「ん……っ、アキ…あ…」
唇が離れたのはその一瞬だけ。
すぐに舌が絡んで、溢れる。
さっきまで荒れていた心が、アキに溶かされる。
ビクビクと腰を痙攣させ、アキの指を締め付けた。
腰が落ち着くと指も唇も離れて、熱い吐息が混ざる。
「結那……結那」
熱く甘いアキの声は私の耳を溶かし、触れた唇は首に落ちた。
アルコールに浮かされた頭で、アキは私の存在を言葉にしていた。