第5章 内側に隠した鈍痛
お酒を豪快に飲む姫野さん。
アキに無理やり飲ませる姫野さん。
どうやら彼女は明日休みらしく、好きなように飲んでいる。
アキは明日、仕事なのに…。
「結那ちゃんも飲めるんでしょ?
飲もうよ〜」
姫野さんに無理やり持たされたビールの缶を見つめた。
私が飲むことは少ない。
アルコールの味があまり好きじゃないから。
周りからはわからないだろうが、すぐに頭がくらくらするから。
しかし、アキの先輩から渡されたものを飲まないわけにはいかなかった。
缶に口をつけて、喉に刺激を与えながら流し込んだ。
すぐに耳が熱くなり、思考は曇る。
テーブルの横にはデンジくんとパワーちゃん。
その向かい側にはアキと姫野さん。
私の隣には誰もいなかった。
頬を僅かに染め、静かになったアキは、姫野さんに唇を奪われた。
驚いたのも束の間、心臓が嫌な音を立てる。
アキは、心も身体も、私のものではなかった。
酔ったアキは静かに受け入れ、ボーッとどこかを見つめている。
姫野さんはそのままアキを抱き締め、甘えるように擦り寄ったかと思うと、突然立ち上がり、私の方に向かってくる。
ゆらゆらとした影が落ちた。
姫野さんは私の目の前に屈む。
キスをされた。
「結那ちゃん、アキくんと間接キスだねぇ〜」
何を言っているのかわからない。
「べろちゅーしちゃう?」
「え?いや…しないです…」
「じゃあ、アキくんしよ〜」
腰を捻らせ、姫野さんはまたアキの唇を奪った。
顔を逸らし、デンジくんやパワーちゃんの方を見る。
デンジくんは羨ましそうに二人を見つめ、パワーちゃんはご飯を食べながら、ニャーコに夢中だった。
姫野さん、キス魔だ…アキだけじゃなく、私にもした。
聞こえてくる、女の甘い吐息と卑猥な水音から逃げるように、トイレに急いだ。