第4章 燻る何か
玄関からドタバタと騒がしい音と声が聞こえて焦る。
私たちは裸のままリビングで抱き合っていた。
「アキ、帰ってき…」
「ん、わかってる。
でも――まだ離れたくない」
それは私も同じ。
でも、さすがにこのままじゃいられない。
突然アキに抱えられ、そのままアキの部屋に入った。
目が合ったデンジくんが叫んで、パワーちゃんもつられて叫んでいた。
「うるさい奴らだな。
セックスくらい、誰でもするだろ」
「……
アキは、誰でもする?」
「そういう意味じゃねぇ」
意味はわかってるけど、少し聞きたくなった。
でも、セックス"くらい"というのに引っかかった。
私からしたら特別なもので、アキだけとするもの。
だから、そんな軽いものみたいに言われたくなかった。
「女は――お前しか知らねぇ」
ボソッと呟かれた声が、やけに耳に響いた。
落ち着いた心臓が暴れ出す。
「わ、私のこと、女だと思ってたの…?」
「バカか。
じゃねぇと抱かねぇだろ」
私、アキの言葉で一喜一憂してる。
これが、"愛している"故なのかな。
俯いて伏せた瞳。
睫毛は少し揺れていて、頬は赤い気がした。
私、アキの心を動かしている?
「どうせ、マキマさんは抱けねぇしな。
そう思うことすら許されねぇだろ」
余計な一言はやめてよ。
アキにとって、私はなんなのかな。
苦しくても辛くても、儚いこの想いは内側に秘めたまま生きていく。
振り向いたアキが、また私の唇を奪った。