第10章 未完のラブレター
手紙を読む、独りの女。
その手紙は、前にアキが「読ませない」と隠した物だった。
女はただ、静かに涙を流しながら読む。
アキがその女への想いを綴った手紙だった。
傍から見ればそれは――遺書のような最後の手紙。
だが彼女にとっては――最初で最後の、アキからのラブレターだった。
心と身体が矛盾している苦しみが綴られている。
マキマを好きなはずなのに、好きな理由はわからない。
考えようとすると、靄がかかって何もわからないのだ。
だが、手紙を読んでいる女のことは、はっきりと…「大切な帰る場所」と書かれていた。
"俺は結那のことを___"
それが手紙の最後の文字だった。
最後の言葉は何度も書き直し、消されている。
アキが、彼女への想いを自分の中で確率出来なかったのだ。
確かに心にあるはずの想いがなんなのか、アキにはわからなかった。
この手紙を書いている時は__。
何度も自分の想いを確かめるように考えて、悩んで…何度も書き直しながら書いた手紙。
それが――アキの一生を書いた物語。
細川結那への未完のラブレターだった__。
「私もアキのことを――愛してるよ」
「凍てついた幼心」end__.