Feline Journey( ONE PIECE )
第1章 🐾
なんだか落ち着かなくて、外に出た。
傷は見た目ほど痛くない。
肩に巻いた布は血で少し赤く染まっているけど、歩く分には支障がない。
ふわりと猫の姿に変わる。
は部屋を出て、夜の街を歩く。
尾をゆらりと揺らしながら静かに浜辺へ向かった。
波の音が優しく響く。
月明かりが海面を銀色に照らし、潮の匂いが鼻をくすぐる。
は砂浜に座り海を眺めた。
――また旅に出てみようかなぁ。
新しい国、新しい景色、新しい味。
父親の土産話が、胸の奥でよみがえる。
父が話してくれるその時間はいつも胸をときめかせた。
は静かに決意した。
――行ってみよう。
少しだけ、船に乗ってみよう。
翌朝、マスターに挨拶しに行った。
店に入ると、マスターは厨房に立っていた。
いつもの穏やかな笑顔。
「マスター……」
は少し声を震わせながら言う。
「私、今日でこの店を離れます」
マスターは驚いた顔をせず、優しく頷く。
「そうか……」
マスターは頭を下げる。
「この店と、街を守ってくれてありがとう」
マスターはがネコガミ様だということを、知っていたのかもしれない。
の目が潤む。
マスターは厨房を出て、の肩に手を置く。
「広い世界を見て、美味しいものをたくさん食べて来るんだよ。」
は涙を堪え、強く頷く。
「……ありがとうございます」
元々、自分の荷物は多くない。
小さな袋に服と少しのお金。
すぐにまとめられるほどの量だった。