第19章 いつか、また
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お互いの着付けとヘアメイクをなんとか時間内に間に合わせた私たちは、慣れない下駄の音をカランコロンと響かせながら、小走りで集合場所である高専の正門前へと向かった。
「おっ。苧環と釘崎来た!おーーい!!」
正門付近で待っていた虎杖くんが、私たちを見つけて大きく手を振っている。
それに応えるように小さく手を振り返しながら、私は歩幅の狭い浴衣の裾を気にしつつ、野薔薇ちゃんの隣を急いだ。
「あーーっ!!真希さん私服!?なんで浴衣じゃないんですか!」
「動き辛ぇから嫌いなんだよ。帯で腹が締まるのも好かねぇ」
真希さんの浴衣を見られる、と期待していた野薔薇ちゃんは、これ以上ないほど残念そうに肩を落とす。
それを見た真希さんは、更に追い打ちをかけるように「あと実家思い出すから着たくねぇ」と吐き捨てた。
「あはは……。あっ、虎杖くんは甚平にしたんだね。似合ってる!」
「サンキュー!苧環も似合ってんね!」
社交辞令じみた褒め言葉なのに、虎杖くんからは全くその気がなくて。
「ありがとう」と感謝の言葉を告げながら、つい笑みが溢れてしまう。
「やっぱ動きやすい方が、色んな屋台で遊べるしな!」
「やたい……?」
「そ!射的、型抜き、ヨーヨー釣りに金魚掬いとか!」
指折り数えて楽しそうに例を挙げてくれるものの、やっぱりイマイチ想像がつかなくて。
首を傾げる私を見た虎杖くんは「え、もしかして全然知らない……?」と不思議そうに眉を顰める。
全くもって見当もつかず、おずおずと頷いた、その時だった。
「行きゃ分かんだろ」
「……!」
背後から、低くて、だけど聞くだけで安心する声音が鼓膜を揺らす。
その声に、私は自分でも分かるほど一瞬で口角を緩め、弾かれたように後ろを振り返った。