第19章 いつか、また
準一級術師として登録された私は、一級術師の皆さんに同行して、度々一級任務をこなしている。
階級が上がるにつれて任務一件あたりの給与は上がるから、三級の野薔薇ちゃんに比べれば、それなりに待遇は良いだろう。
「ん〜……。まあ、野薔薇ちゃんよりは貰ってると思うけど」
「……随分生意気こと言ってくれるわね」
「ふふん、だって私は準一級だもん!」
突きつけられた現実に声を低くして怒られたけれど、痛くも痒くもない。
なぜなら、呪術師として与えられた階級だけは、私が野薔薇ちゃんより強いという、逃れようのない事実だから。
いつもは野薔薇ちゃんの勢いに押されがちな私だけど、こういう時くらいは先輩ぶらせてほしい。
「じゃあ、その偉〜〜〜い準一級術師様に、今日のタクシー代負担してもらおうかしらねぇ!」
「え〜??ふふ、しょうがないなあ」
実力を素直に認められたことが嬉しくて、鼻高々になって快く財布の紐を緩めようとすれば、野薔薇ちゃんはこれ見よがしに不満げに口を尖らせた。
「……嘘に決まってんでしょ。あのバカ教師に払わせるわ」
「誰のこと?」
「五条先生」
躊躇なくその名を口にした野薔薇ちゃんは、「アンタが頼めば ちょちょいなんだから、援護は頼んだわよ」と私の肩をポンと叩く。
頼んだわよ、と言われても。
私は五条さんに育てられた手前、これ以上 金銭的な負担を強いることは、どうしても後ろめたさが勝ってしまう。
「………やっぱり、私が出すよ?」
「借りつくるみたいで嫌なの」
「五条さんにはいいの?」
「アレは別でしょ」
どうしてそこまで別枠扱いなのか聞きたかったけれど、これ以上野薔薇ちゃんのへそが曲がっても困る。
私は「そっか」と苦笑混じりに返事をして、タクシー代のお金は後で五条さんへ個人的に渡そうと心の中で決意を固めた。