第2章 わるいこ
過去に心を傷つけられた相手が、たとえ別の人間だったとしても。
それを切り分けて、目の前の“誰か”を見ることは、簡単なことじゃない。
こんなに小さな体で、未熟な心なら、なおさらだ。
「ズルいなぁ、恵は」
「ずるい?なんで?」
きょとんと首を傾げるを見て、思わず苦笑が零れる。
「こんなに可愛くて強いオマエに、信用されたんだ。僕が死んでも裏切らせないよ」
冗談めかして言いながら、その裏に本音を押し込める。
僕はきっと、その信頼を得るには遠すぎる。
ただ、拾っただけ。
才能があったから、呪術師として育てているだけ。
今やっていることは、あの村の大人たちと、本質的には変わらないのかもしれない。
「五条さん」
名前を呼ばれ、遠くへ逸れていた意識が引き戻される。
気づけばは、僕の右手を両手で包み込み、大きな瞳で見上げていた。
「私は今、世界で一番、五条さんを信じてるよ」
……参ったな。
軽く肩をすくめながら、内心で息をつく。
これは予想外で、あまりにも反則だ。