第16章 運命的な再開
「ほぉ〜ん………。伏黒くぅ〜ん。後で詳しく聞かせてくれよなぁ〜〜」
「しゃ〜け、いくら〜」
一度私に集中していた視線が、今度は一斉に恵くんへと突き刺さる。
それまで涼しい顔を装っていた恵くんも流石に居心地が悪くなったのか、顔を歪めると据わらせた目で真希さんを睨み返した。
「…………これ、どうしてくれるんですか」
「知らねーよ。自分でどうにかしろ」
自分で蒔いた種だろ、と付け足した真希さんは、野薔薇ちゃんと同じようにニヤリと口角を上げ、恵くんの肩を強く叩く。
「はぁ……」
恵くんが深い溜息を吐き出したその時。
階段の方から複数の足音が響き、真希さんの眉が険しく寄せられた。
「……おい、来たぜ」
真希さんの一言と同時に、階段の下から京都校らしき人達が団体で現れる。
「あら、お出迎え?気色悪い」
その中の一人────どこか真希さんと似た面影を持つ女性に、直球の罵倒を投げつけられ、肩がひくりと跳ねた。
明らかに歓迎されていない不穏な空気が肌を刺し、彼女たちが放つ威圧感に気圧されそうになる。
中でも、糸目の男性が私を射抜くように凝視しているのに気づき、無意識にジリリと後ずさった。
「………………」
「……???」
けれど彼はついに私の方へと歩み寄り、私の両手をぎゅうっと力強く握り込むと、ずいっと顔を近づけてきた。
「君、名は?」
「えっ……あ、えと、苧環 ナマエ………です」
「ナマエ……良い名だ。実に品がある」
「ど、どうも………」
困惑する私を余所に、糸目の男性はさらに距離を詰め、逃がさないと言わんばかりに掌に力を込める。
「私の名は加茂憲紀。いずれ加茂家当主の座を継ぐ人間だ」
「は、はあ……。それは、とても良い出自で……」
「ああ。将来は困らないだろう」
「……????」
何故、私は今、出会ったばかりの男性に自慢話をされているのだろう。
わけが分からず視線を右往左往させていると、突如、背後から伸びてきた長い腕が私の肩に強く巻き付いた。