第16章 運命的な再開
二日後。
まだほんの少しだけ痛む腰を擦りながら、私は制服の袖に腕を通した。
硝子さんに治してもらうことも考えたけど、任務でもない日に私が医務室に来たら、硝子さんはきっと理由を聞いてくる。
その先で恵くんとの行為の全容を吐かされるのが怖くて、私は頑なに、医務室へ足を運ぶことを拒否した。
「ナマエ!!!行くわよ!!!」
今日も無遠慮なノックの音が、部屋の外で響き渡る。
少し前までと違うのは、私がその音を拒絶せず、当たり前のように扉を開くようになったこと。
「おはよ!野薔薇ちゃん!」
「アンタ………本当に治ったんでしょうね」
「まだちょっと身体痛いけど……平気!ちゃんと動けるよ!」
部屋から飛び出してそう告げると、野薔薇ちゃんは不服そうに顔を顰め、私の顔をまじまじと観察した。
そんな探るような視線から逃げるように、私は手早く鍵をかけ、野薔薇ちゃんの腕を引いて寮の出口へと向かった。
虎杖くんのことは、まだ少しも消化出来ていない。
それでも、"彼を見殺しにしてしまった"という感情を恵くんと共有していることを知ったからか、前より少しだけ心が軽くなっていた。
私たちだけじゃない。
きっと口に出さないだけで、野薔薇ちゃんも同じ痛みを抱えている。
二日前、彼女の顔を久々に見た時、その強気な瞳の裏にある揺らぎを垣間見て、直感的にそう確信した。
「京都の連中、ボッコボコにしてやるわよ!!」
「ボッコボコって……」
十二分に気合いが入った野薔薇ちゃんを横に見ながら、くすりと笑みが零れる。
まるで、小学生が初めての運動会に挑む姿を見ているようで、なんだか酷く微笑ましかった。
「ちょっと、何笑ってんのよ」
「ん〜?ふふ、野薔薇ちゃん可愛いなぁって」
「はあ〜??今更ぁ?」
そう言って、野薔薇ちゃんは不機嫌そうに眉をひそめた。
それすらも愛おしく思って笑っていると、暫くしてから「馬鹿にしてんだろ」と頬を思いっきり左右に摘まれてしまった。