第15章 成就の証※
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チュン、と窓の外で鳴く鳥の声が、重い瞼を押し上げた。
結局あの後、休みなく、意識が無くなる寸前まで快楽に誘われていた気がする。
「…………っ」
ふと昨日のことが夢だったような感覚に呑まれ、いつもと変わらない朝が酷く不安に感じて隣を見る。
するとそこには安らかに寝息を立てる恵くんの横顔があって、抱えていた不安は霧散した。
(…………よかった)
伏せられた長い睫毛に指を伸ばし、そっと触れる。
煩わしそうに眉間に寄った微かな皺さえも、狂おしいほどに愛しく思った。
「………大好き」
────だから、この無防備な寝顔も、昨日の余裕のない顔も、私だけに見せてほしい。
そう言葉にして伝えたら、恵くんはまた、私の我儘を叶えてくれるだろうか。
『"全部"叶えてやる』なんて無茶なことを恵くんが言うなんて。昨日はよほど、心が弱っていた証拠なのだろうけれど。
「………お水、あったっけ」
目の前に広がる愛しい寝顔。それを独り占めしていたい気持ちを抑え、ブランケットを恵くんだけに掛け直して身体を起こす。
けれど、ベッドから立ち上がろうと床に足をつけた瞬間。
言いようのない鈍い痛みが下腹部から腰へと突き抜け、私の腰はベッドへと縫い戻されてしまった。
「いッ……た……っ、」
立ち上がれないほど痛む腰と、全身の疲労感。
暫く生活に困るはずなのに、これほどまでに激しく愛された証だと思えば、甘い悦びに塗り替えられていく。
「…………どうしよ。のど、乾いた……」
恵くんから与えられる快楽に流されるまま、一晩中声を上げていたせいだろう。
喉からは掠れた音しか出なくて、乾燥しきっているのが分かる。
(……恵くんは、起こせないし)
私が起きても眠り続ける姿は珍しい。
それほど恵くんも私に心身を削ってくれたのだと思うと、このままそっとしておいてあげたかった。