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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第8章 百鬼夜行の、その最中※





「五条さん。昨晩お伝えし損ねた、ミョウジさんの家系調査の件で──……」


夜通しの呪霊祓除、そして親友の"処分"。

限界まで摩耗した僕の元にやってきた伊地知は、ソファに沈み込む僕を見て言葉を止めた。


「続けて」
「……はい」


包帯の上から腕で目元を隠し、語気を強めて促せば、伊地知が喉の奥に溜まった唾を嚥下する音がやけに大きく耳に残った。


「可能な範囲での調査結果にはなりますが、
 父系、母系ともに三代ほど先まで遡り、呪術師、呪詛師のいずれも該当なし。
 戸籍上の血縁関係には、呪術に関する接点は"一つも"ありませんでした」


報告を聞きながら脳裏に浮かんだのは、
あの子の持つ測り知れない呪力量と、反動を伴うあの特異な術式。


呪術師の家系でもない、ただの一般家庭から、あんなにも"呪術に愛された個体"が突然変異で生まれるはずがない。


六眼で見たナマエの本質と、伊地知の口から伝えられる事実。
それが真っ向から矛盾し、思考の裏側がじりじりと焼ける。



「……そう」



短く返した僕の声は、自分でも驚くほど平坦だった。


伝えられた結果が、どこかで望んでいたはずの"普通"からかけ離れていたからか。


それとも────この先に続く伊地知の話に、"嫌な予感"を覚えていたからか。



「ただ────」



言い淀んだ伊地知の手元で、資料が微かにくしゃりと不吉な音を立てた。


その先を聞きたくない、という僕の無言の圧が、部屋の酸素を薄くしていく。


重苦しい空気の中、
数秒の間を経て僕に一歩近づいた伊地知は、意を決したように続けた。


「家系調査とは別に──…高専関係者、元関係者、その他 登録済み数百種の血液と、彼女の血液をDNA鑑定にかけました」


腕で隠していた目元の奥で、意識が少しだけ覚醒する。

今、それを僕に告げたということは、何か異常な結果が出たということだ。


「……その鑑定結果があるのですが、ご確認いただけますか」


視界を塞いだ腕をどけ、目元の包帯を緩やかに解く。

そして伊地知の方へ目をやると、
震えた指から差し出される白く無機質な封筒が、窓から差し込む鈍い光を不気味に反射していた。
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