第8章 百鬼夜行の、その最中※
一度は静まりかけた部屋に、お互いの唾液が混ざり合う湿った音が再び響き渡る。
重なり合う唇から伝わる熱が、冷えかけていた私の体温をじりじりと引き上げてくれた。
「ん……ちゅ、んっ、」
「……、…っ」
キスの合間。
恵くんの胸元に預けていた私の手は、吸い寄せられるように下へと伸びる。
まだ完全には戻りきってはいないけれど、ほんの少し芯を残した暖かいモノに、おそるおそる指先を這わせた。
「っ……!!」
その瞬間、私の手首を恵くんの大きな手が強く掴んだ。
そのまま、ほんの少し芯の残るソレを包み込むようにして、私の手を上下に操作する。
ぐい、ぐい、と彼の手に引かれるまま、掌の中で形を変え、硬度を増していく質感。
その生々しい感触のせいで、お腹の奥底がきゅうっと切なく鳴いた。
「はっ……っ、そのまま、続けてろ、」
「は、はい…」
恵くんの手が離れ、補助を失った手。
大きな手の感触を思い出しながら、教え込まれたテンポをなぞるように、必死にその昂りを擦り続けた。
「っ……、は、…」
「…き、……きもちい?」
ふと問いかけると、恵くんは私の肩口に顔を沈めたまま、苦しげに首を縦に振った。
(……よかった。もっと、頑張らなきゃ)
そう意気込んだ、その時。
「え…………ひゃっ」
ドサリと布が擦れる音と共に、私の背中がシーツに触れた。
押し倒された。
そう気づいた時には恵くんの舌が私の首筋を這っていて、無意識に手が止まる。
「手、」
「ご、ごめんなさい…っ」
慌てて彼を擦る手を動かし始めると、恵くんの喉の奥で満足げな吐息が漏れた。