第2章 わるいこ
────を保護した翌週。
「ほ〜ら、。行くよ」
僕は先送りにした"ある用事"へ向かうため、を高専の医務室から連れ出そうとしていた。
しかし、
「や、やだ…っ、硝子さんと、此処に居る…!」
「まだ言ってんの〜?ほら、怖くない怖くない」
は「知らない人に会いたくない」と言って僕から逃げ回る。
この状況に陥って、優に2時間は経過しただろう。
「残念だったな五条」
「お前も協力してよ」
僕がそう言うと硝子は僕に勝ち誇ったような顔を見せ、ハッと鼻で笑って見せた。
「嫌だね。この子から離れる理由ないし」
「硝子ってそんな子供好きだったっけ」
「別に、普通でしょ」
脚に絡むの髪をぽすんと撫で、硝子は僕を見上げる。
そして「無理して連れて行かなくていいじゃん」と言ってを抱き上げ、僕に見せつけるように頬と頬を擦り合わせた。
は「わっ…!」と驚いた後 嬉しそうに目を細め、今では硝子の行動を受け入れている。
「げぇ〜、やめてよ。に煙草の匂い移るじゃん」
「…へぇ、いいなそれ。マーキングみたいで」
「は??」
僕の言葉に一瞬ピタリと行動を止めた硝子はニヤリと笑い、の頬に軽くキスを落とした。
いや、これはいくら何でも「普通」じゃ済まないくらいには好きでしょ。
硝子って鈍感?…いや、この顔はわざとだな。
「じゃ、私はこの子に本読んでやる約束してるから。行ってら〜」
を腕に抱いたまま、硝子は僕の横を通り過ぎようとする。
いや待てよ。行かせるわけないじゃん。
「おいおい待てよ硝子〜。は僕が見つけた僕の子だからね?」
「見つけただけじゃん」
「立派な理由でしょ」
何を言ってもを解放してくれる気のない硝子に溜息をついて、僕はその腕からを取り上げた。
「あっ…!しょ、しょーこさん…っ助け…」
「おい、返せよ」
「やだ♡んーじゃ、行ってきま〜す!!」
めちゃくちゃに睨みつけられてるけど僕は気にしない。
硝子は元からああいう顔だったし。たぶん。